このBlogについて

About 当Blog「Invierno Azul(インビエルノ アスル)」は、個人が趣味のために運営する「鋼の錬金術師」の二次創作小説のファンサイトです。扱っている版権物の原作者及び関連企業・団体とは無関係であり、原作の著作権侵害の意図はありません。ロイアイ好…

もくじ

■ロイアイスキーに20のお題(お題配布元は閉鎖されました) 01.優しい人 「06.上官命令」の後日譚。上司部下以上恋人未満。 02.集中豪雨【01.Side Riza】/【02.Side Roy】/【03.Side Riza】/【04.Side Roy】 イシュヴァール背中話妄想。(完結) 03.無能 …

其の五 生殺しスタンドナイト 

常夜灯代わりの読書灯の下、ロイは己の部屋の中央でぼうっと立ち尽くしていた。彼が部屋の明かりを点ける事さえ億劫になっている理由は、疲れているからだけではなかった。 「大佐?お掛けになりませんのですか?」 異常なほどの至近距離で、常に無く甘く可…

其の二 夜と帽子と珈琲と

「まったく。将軍閣下は私のことを一体何だと思っておいでなのかね?」「そうですね。使い勝手の良いナイト、辺りだと思っていただいているのではないでしょうか」「ナイト? この荒い使われ様は、まるでポーンだと思うがね」「あら、よろしいじゃありません…

黎明 Side Roy

「ああ、終わった!」 ロイは愛用の万年筆を置くと、うんと伸びをしながら言った。早朝からずっとサインを続けたせいで怠さを覚える腕の筋肉が、軋みをあげてほぐれていく。読み終わったらしい書類の束を膝の上でまとめたリザは、生真面目な表情で彼に視線を…

黎明 Side Riza

軍人であるリザの朝は早い。 東方司令部で一番偉い人になった上官の増えていく仕事を効率よく処理するため。 突発の変更に早めに対応するため。 そこに様々な理由をつけることは出来るが、単純に彼女は誰もいない朝の司令室の凛とした空気が好きだった。 い…

其の十四 犬だって食わない ― バカップル  ―

重い銃声が式典会場に響いたのは、一五二〇を過ぎた頃だった。「手を上げて、武器を捨てろ! 抵抗しない者には危害は加えない!」 オリジナリティのない、だからこそ効果のある脅迫の声が場の空気を揺らした。 一瞬の静けさが場を満たし、次の瞬間、悲鳴と怒…

軍帽二十番勝負 其の四 礼装軍団 ― チーム・マスタング ―

「おい、お前、襟曲がってるぞ」「あ、すみません」「やっぱり、礼装は動き難いよなぁ」「なんと言っても、礼装ですからね」「久しぶりに持つと重いんですよね、サーベルって」「なんせサーベルだもんなぁ」「しっかし、俺、礼装着るの自体、ものすげー久し…

軍帽二十番勝負 其の十二 彼女という名の光 ― 共闘する二人―

「五時の方角、三〇メートル。二人!」 小さな礫のように鋭いリザの声が飛んだ。狙撃手である彼女の指示が的確であることは、誰より長く彼女の傍にいるロイが一番よく知っている。思考より先に動くロイの身体はその言葉に弾かれ、彼は振り向きざまに指を二つ…

軍帽二十番勝負 其の十一 サーベルアーチ   ― 夜の綻び ―

他人の結婚式というのは、基本的に退屈なものだ。ましてや、それが自分と直接関係の無い人間の結婚式であるなら尚更。 リザは長い長い退屈から解放された安堵の溜め息をつき、硬いコンパートメントの椅子に身を沈める。ずっと立ちっぱなしだったせいで、ヒー…

軍帽二十番勝負 其の一 ストイック・ステーション―切なめストイック―

わっ、と群衆の間から歓声が上がった。 駅周辺の高い建物の位置をチェックしていたリザは、人混みに揉まれながら大きな声の上がった方を振り向いた。彼女の視線の先には、綺麗にデコレーションされた御成列車が駅に到着する姿と、それを取り囲む民衆の姿が映…

Twitter Nobel Log 50

2451.無精髭。寝癖。酷い隈。本日の式典に臨む准将閣下には似つかわしく無いもののオンパレード。銃の代わりに櫛を手に、私は本日の敵の各個撃破に取り掛かる。誰にもこんな舞台裏を想像させない程に立派な礼装姿を作り上げるのも私の仕事と嘯き、私は偉い男…

Twitter Nobel Log 48

2351. 貴方が作った法で、貴方が裁かれる。私たちが目指した民主国家の皮肉。戦争が終われば英雄はただの人殺し。そう言って笑う貴方は満足そうで、私は軍人の狗として吠える言葉を探しながら、青空に吸い込まれそうな透明な笑みをただ見つめるしかなかった…

Twitter Nobel Log 49

2401. 失うことが怖いから盾になる。そんな臆病な理由で前線に立つ私を他人は勇敢だと評する。認識の差に苦笑する私を彼だけは苦い顔で見る。この人にだけは見破られているのだと私は少しだけ幸福な苦笑を重ね、頑固な副官の顔で彼に視線を返した。 2402. 欲…

pp

2009年に初めて出した書き下ろしオフ本のウェブ再録です。今では解釈違いでこんな甘い(当社比)お話は書けないし、稚拙な文章ではありますが、大体6万字くらいあるのできっと時間つぶしにはなるはず。(笑)ひとときでも、読んで下さる方の無聊を慰める事が…

A midnight dinner

パタリと扉が開いた。 リザは両手いっぱいに抱えたサラダやキッシュパイの入ったデリの紙袋を持ったまま、無理やりにキッチンの扉を閉めた。暗闇に手探りして照明のスイッチを探し当てたリザは、真っ先に壁の時計を見上げる。彼女がロイに予告した来訪の予定…

Twitter Nobel log 43

2101. 夜明け前、ふと目覚め窓辺に立つ。冷え切った外気と室内の温度差に曇るガラスを指で拭えば、しんしんと降る雪が窓の外に見えた。雪降る静寂に包まれた閉じたガラスの中の世界はまるでスノードームのようで、世界から隔離された二人きりの平和な時が今…

Twitter Nobel log 44

2151. 背中に感じる体温が、いつも私に火を点ける。戦場の輪舞曲。褥の夜想曲。どんなシーンでも、君は私の最上のパートナー。 2152. 鞄に銃だけ詰め込んで、貴方とふたり汽車の旅。甘さの欠けらもないけれど、ふたりきりには違いない。がたがた揺れる汽車の…

Twitter Nobel log 45

2201. 女にネクタイを締めさせるなんて良いご趣味。手が滑れば生殺与奪も思いのままの細い紐を他人の手に預けるなんて、軍人さんのすることではなくってよ。夜の女を真似て嘯く私に貴方は笑う。私が命を預けるのは、ネクタイを締めてくれる君と背中を預ける…

Twitter Nobel log 46

2251. 月が綺麗だと貴方は言う。綺麗ではない月などあるのですか? と問えば、貴方は困った様に笑った。ああ、確かにその通り。そう言って貴方はひどく優しい目をして私を見ると、破顔した。「君はずっとそのままでいてくれ」 2252. 嘘を吐いたわけではなく…

Twitter Nobel log 47

2301. 子供の頃、犬を飼いたいと言ったことがあったのを、彼は覚えているらしい。うちの躾は厳しいわよと言った背後から、十年越しの成就だなと笑う上官の小声が憎らしい。それでも彼がそんな些細なことさえ覚えていてくれたことが私の口元を綻ばせてしまう…

reason

火炎瓶が頭上を飛んだ。 冷静に降りかかる火の粉を払う私の後方で小さな爆発が起こる。幸いに誰もいない場所に落ちた瓶から上がった炎は迅速な連係プレイで消し止められ、我々の出動予定に大きな影響を与えることはなかった。突入を目前に控えざわめく部隊を…

Blues of blue

彼女が初めてそれを聞いたのは、彼の副官になってすぐの頃だった。 任官されたばかりで未だ新兵であった彼女は、その日も厳しい訓練と忙しい業務で草臥れきった身体を、引きずるように廊下を歩いていた。 いつもならバタバタと軍人たちが行き交う筈の夕暮れ…

paint over

ピチャリ。静まり返った室内に雫の落ちる音が聞こえた。 その音は高い天井に反響し、すぐに闇の中へと消えていった。 水漏れか。 否。廃屋になった工場には水道は通っていない。 きっと何処かに溜まっていた雨水が漏れているのだろう。 リザはそう考えながら…

if 【case 14】

もし、彼らが同じコンプレックスを持っていたら。 §きっかけは何気ない会話であった。 その日、穏やかな午後のキッチンで、リザは父のお弟子さんに珈琲を淹れていた。 少し曇った空から漏れる柔らかな光が空気の中に満ち、髪を揺らす程度の風が窓から吹き込…

通販のお知らせ

今までに発行した本の自家通販の受付をさせていただきます。各頒布物とも在庫が終了次第、申込の受付を終了させていただきます。各頒布物共に、現時点におきましては在庫終了後の再販予定はありません。 下記の事項をよく読んでいただいた上でご了承いただけ…

星から降る金 サンプル

1.プロローグ ロイがその少年と出会ったのは、彼が二十五歳の時のことであった。 当時、少年は十一歳。 ロイの人生の半分にも満たない時を生きたに過ぎない少年は、彼が錬金術を学び始めた当時と同じ年齢において、とてつもない偉業に手を出した。 偉業? …

Twitter Nobel log 42

2051. ふしだら淫ら私の身体。触れたらそばから蕩けてたわわ。さながら焔(ほむら)の貴方の手から、ひたすら貪る夜はすがらに。2052. ずっと君とは過去ばかり見てきた。これからふたり未来を見ていいのかと少し面映ゆく思う。どちらにしても向かう眼差しの…

Twitter Nobel log 41

2001. 私が怪我をすると怒るくせに、自分の命は省みない。相手を守って怪我をするなら本望だと思っているが、相手が同じことをすることは許せない。似たもの同士の逆しまの鏡。映っているのは、私と同じかおをした恋人。2002. 飴玉を強請る程の気安さで、私…

Twitter Nobel log 40

1951. 彼女が淹れる珈琲の濃さに、舌が慣れている。もう、私好みに淹れられたらものか、彼女に慣らされたものか、分からないほどに。月日を共に重ねるとは、こんな何でもない日常の積み重ねなのかもしれない。1952. 他の男も見てから決めれば良かったのに、…