2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

嘘吐きな黒猫

怒ったように無言で梨紗の前を歩く少年の背中は、それでも歩幅の小さな彼女の足音を気遣う余裕を持っていた。いつの間にか、彼もそのくらいには大人になったということか。梨紗は少々感慨深い想いで、振り返りもせず緩やかな坂道を上がっていく彼の後を追う…

if【case 06】

Caution!!:超未来ねつ造、ご注意下さい。 if【case 06】:もしも、彼が大総統にならなかったら その日は、朝から風が吹いていた。穏やかな晴天の東方司令部を吹く風は、痛いほどに乾燥した砂漠の風とは違い、柔らかく心地良いものだった。リザは目を細めて…

Twitterノベル01

001.いつもの習慣で彼のカップに珈琲を注いだ所で、私は気付く。そうだ、彼は出張で中央司令部に行ったのだった。用意したものが勿体無いから。そう自分に言い訳した私は、躊躇いながら彼のカップに唇を付けた。白いカップに残った自分の紅の色が淫らに見え…