2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

後書きに代えて

半月も経って本当にもう何を今更なのですが、言ったからには書いておく、後書きのようなものです。自己満足と備忘に。 えー、今回の611祭り、正直なところ体力的には死ぬかと思ったけど(笑)、この疾走感とお祭り気分は死ぬほど楽しかったです。お付き合い…

10’07月号ネタバレSSS&感想

最終回ネタバレですよ〜。 ■SSS 道ポタポタと落ちる点滴を眺め、私は病室の窓から外の物音に耳をすませる。飛び交う怒号、行き交う足音、瓦礫の崩れる音。表の喧噪は未だ収まる事を知らず、崩落に巻き込まれた者の探索や死体の搬送が忙しなく行なわれている…

上司としての顔、部下としての顔

「私は、この女を生涯の伴侶とし、共に生きることをここに誓います」「私は、この男を生涯の伴侶とし、共に生きることをここに誓います」 二人は爽やかな青空の下で高らかにそう宣言すると、目と目を見交わして幸福そうに笑った。わっと参列者の間から歓声が…

異動辞令

元々内定していた上官の中央司令部への異動が正式な文書として通達されたのは、水曜の午後のことだった。ちょうど射撃訓練の真っ最中だったリザが教官に呼び出され執務室に行くと、そこには既にいつものメンバーが勢揃いしていた。ジャン・ハボック少尉。ハ…

夜・オフィス・山積みの書類

「ああ、疲れたな」「同感で」青い軍服に身を包んだ二人の男は、すでに発車した夕刻のイーストシティ行きの汽車の中でドカドカと大きな足音を立てながら、自分たちの席を探していた。ドアの上部に書かれた番号を確認しながら、ロイは溜め息混じりに愚痴をこ…

少し言い過ぎたかも

まさか現状がこれほどまでに酷いとは。報告の打電と現実のあまりの解離に、リザは愕然とした。砂漠に一晩放置されていたらしき負傷兵のうめき声は、五〇〇メートル離れた位置にいても聞こえてくる。「総員待機!」スコープを覗くリザの頭上で、ロイの鋭い小…

ご褒美

「で、エリザベスちゃんは元気なのかい?」「ああ、おかげさまで」ロイは手に馴染む重厚なグラスを傾けてチロリとバーボンを舐めると、にっこりとよそ行きの“良いお顔”を作ってマダムの問いに答えてみせる。彼の養母は細い紙巻き煙草をくゆらせながら、ロイ…

追う者、追われる者

ぽかぽかと気持ちの良い陽射しが、主のいない席を温めている。リザはしばらく黙って空っぽの上官のデスクを眺めていたが、無表情のまま胸に抱えた書類の束をトンと置いた。しんと静まり返った部屋に、慌ててガサガサと書類をいじる音が立ち始め、背後でマス…

望まない確執

「承服致しかねます」リザは直立不動の体制で、上官のデスクの前で明確な拒絶の意志を表した。とりつく島もないリザの返答に、ロイは苦虫を噛み潰したような顔をすると「理由を述べたまえ」と、こちらも簡潔な返答をして寄越した。「それが私である必要を認…

…少しくらい敬いたまえ

何故、こんな事になっているのだろう?グルグルと酩酊した頭で、考えたところで埒のあかないことを考えながら、ロイはズキズキと脈打つ己のこめかみを押さえた。カップを持つ手すら、既におぼつかなくなってきている。現時点で何杯飲んだか、いや、もう“何本…

サボタージュ

哀しむ暇がないほど、忙しいのは良いことだ。 ロイはそう思い、今朝方送られてきた紋切り型の脅迫状に関する報告書にざっと目を通すと、即座に解決済みの判断を下し傍らの決済箱に放り込む。 続いて現れた書類はひとまとめに提出された部下の休暇申請書で、…

少しばかり有能すぎる部下

白昼堂々の市街地のど真ん中で、派手な銃撃戦が始まったのは一四〇六の事だった。かねてから目を付けていた武器の密輸組織の一斉摘発のため配備していた一部隊が、偶然組織の者と行きあってしまい、双方予期せぬ偶発的な戦闘が始まってしまったのだ。おかげ…