2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

13.花一輪【03.Side.Roy】

手折っても良い花が あるのだろうか * 「マスタングさんが夢中になってしまう程、それだけ父の研究が凄かったという事ですよね」 リザはそう言うと私に向かって笑ってみせたが、その笑顔は強張っていた。無理をしているのだろう。 私は、心から自分の軽はず…

13.花一輪【02.Side Riza】

胸の奥深く 私だけの花が咲く * しまった。 泣いてしまった、どうしよう。 私は内心焦っていた。 きっと、あの人は困っている。早く、いつもの私に戻らなくては。 しかも、私の涙は絶対に誤解されているに違いない。それでは困るのに。 そうは思うのだけれど…

13.花一輪【01.Side Roy】

私だけが知っている 君の背に咲く大輪の。。。 * シュルッと衣擦れの音がして、彼女の肩からボレロが落ちた。 彼女の首筋に向かって伸びる円の様なものと幾許かの文字が、既にその 襟首から覗いている。 ゴクリ、と音を立てて私の喉が鳴った。 早く秘伝を見…

overcoat

overcoat 【名】 オーバー、外套 * 待つ事は苦痛ではないが、この寒さはどうにかならないものだろうか。 リザはそう思いながら、狙撃銃のスコープから目を離した。 身体を包んだブランケットを一層きつく身体に巻きつけるが、効果はあまりない。 かじかんだ…