2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

13.花一輪【07.Side Roy】(完結)

この胸に咲く花は 貴方 * 「リザ、君は」 私の言葉は、彼女には届かない。 何故なら、リザはベッドの上で無防備に眠り込んでいるのだから。 瞳を閉じた彼女を起こさぬように、そっと髪を撫でた。 首筋に覗く秘伝が、私に様々な事を思い起こさせる。 私の指先…

13.花一輪【06.Side.Riza】

実らず枯れる花の 哀しさ知らず 一人 * 「私は明朝、軍に戻らなければならない。準備に少し時間がかかるかもしれないが、必ず迎えに戻るから。待っていてくれるね?」 何を言い出すのだろう、この人は。 彼の腕の中で、私はあまりと言えばあまりな男の身勝手…

13.花一輪【05.Side.Roy】

刹那を見る女 未来を見る男 どちらの胸にも散って消えた 花一輪 * なるべく冷静に振る舞おうと心がけてはいたが、私の心中は様々な思いで溢れかえっていた。 私には彼女の言う所の幸せが、理解出来なかった。 好きな男に抱かれる事、確かにそれはそうなのだ…

13.花一輪【04.Side.Riza】

摘まれる為に 花は咲く * 気が付けば、自分でも驚くほど饒舌になっていた。 分かってもらおうとも、分かってもらえるとも思っていない、なんて嘘だ。 独りの夜は明けないのかと思う程、長い日もある。 無い物ねだりと分かっていても、誰かに知っていて欲しか…