2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

Twitter Nobel log 43

2101. 夜明け前、ふと目覚め窓辺に立つ。冷え切った外気と室内の温度差に曇るガラスを指で拭えば、しんしんと降る雪が窓の外に見えた。雪降る静寂に包まれた閉じたガラスの中の世界はまるでスノードームのようで、世界から隔離された二人きりの平和な時が今…

Twitter Nobel log 44

2151. 背中に感じる体温が、いつも私に火を点ける。戦場の輪舞曲。褥の夜想曲。どんなシーンでも、君は私の最上のパートナー。 2152. 鞄に銃だけ詰め込んで、貴方とふたり汽車の旅。甘さの欠けらもないけれど、ふたりきりには違いない。がたがた揺れる汽車の…

Twitter Nobel log 45

2201. 女にネクタイを締めさせるなんて良いご趣味。手が滑れば生殺与奪も思いのままの細い紐を他人の手に預けるなんて、軍人さんのすることではなくってよ。夜の女を真似て嘯く私に貴方は笑う。私が命を預けるのは、ネクタイを締めてくれる君と背中を預ける…

Twitter Nobel log 46

2251. 月が綺麗だと貴方は言う。綺麗ではない月などあるのですか? と問えば、貴方は困った様に笑った。ああ、確かにその通り。そう言って貴方はひどく優しい目をして私を見ると、破顔した。「君はずっとそのままでいてくれ」 2252. 嘘を吐いたわけではなく…

Twitter Nobel log 47

2301. 子供の頃、犬を飼いたいと言ったことがあったのを、彼は覚えているらしい。うちの躾は厳しいわよと言った背後から、十年越しの成就だなと笑う上官の小声が憎らしい。それでも彼がそんな些細なことさえ覚えていてくれたことが私の口元を綻ばせてしまう…