2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

02.集中豪雨 【03.Side Riza】

雨に濡れて立ちすくむ私を見つけてくれたのは 貴方 * 「私は向こうを向いているから、服を脱いでこちらに背を向けてくれ」優しい瞳が私をじっと見つめる。恐慌状態から自分を取り戻しつつあった私は、言葉を発する事が出来ずただ頷いた。マスタングさんが、…

02.集中豪雨 【02.Side Roy】

降る雨が君を濡らす 傘になれないならばせめて傍らに * 「私が私の意志で父の秘伝を伝えたのです、何を今更!」リザは叫ぶようにそう言うと、自分の声の大きさに驚きハッとしたように目を伏せ、黙り込んでしまった。まじまじと彼女の俯いたままの姿を見つめ…

02.集中豪雨 【01.Side Riza】

雨が降る 私の中に 雨が止まない雨が 降り続く 永久に * 戦いの終わった野営地は、奇妙な高揚感と、少しの明るさと、幾ばくかの諦念と、大きな哀しみと、吹き荒れた狂気の残滓に満ちていた。既に家路に着いた兵もいれば、残務に追われている将校もいる。いく…