後書きにかえて

 長々時間がかかってしまいましたが、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
 リクエスト募集から一年半、鋼の連載終了から一年、リクエストを下さった方の中には既に鋼から離れてしまわれた方もいらっしゃるかと思います。その方々には、大変申し訳ありませんでした。もうご覧になることもないでしょうが、ここでお詫びしておきます。
 さて、後はいつも通りの裏話を少し。

01.魔法使いのラジオ
 優しいお兄さんが、本当は男だと知ってしまう思春期の衝撃を経て、女の子は女になっちゃうんだろうなというお話。珍しくマスタングさんが、ちょっぴりヨコシマ。(笑)隠した大人の顔ってのも、隠媚で好きです。
 当時も書きましたが、マスタングに蘊蓄喋らせる時は自分が理解してないと書けないので、もう本編書くより鉱石ラジオの仕組みを理解する方に必死でした。今でも、鉱石ラジオ作れって言われたら作れます、たぶん。(笑)

02.台所の錬金術
 デートらしくないデートで、すみません。こちらは鉱石ラジオと反対に初心な二人。素直になれない仔リザって、可愛くてホント大好きです。今回は振り回されつつ、天然タラシの若ロイとの組み合わせでしたが、子供時代の二人の幸せは、眩しくて書いててちょっと切なくなります。リザが限定されながらも素直でいられる期間って、多分ここだけだと思うんです。
 しかし、本当に男の人の「何でも良い」は、困りますよね!

03.それが、彼の方式
 謎かけらしい謎かけにならなくて、すみません。ものすごく考えたんですが、これが私の限界でした。無茶振りですが、きっと有能な副官殿ならクリアしてくれると信じて。
 ロイって、こういうちょっと断りにくい頼み方で、リザに「しょうがないですね」って言う口実を与えてあげてるイメージがあります。買いかぶりでしょうが。

04.月とライダー
 まさか、ここからパラレルオフ本まで出すことになろうとは!(笑) 先生’sに頂いた読み手様の愛のお陰です。感謝!
 いつも書いてますが、パラレルは本当に苦手です。でも、この先生たちへの愛着はなんだか格別なのです。教師という職業設定のお陰で、彼らの目的や職業意識、性格などが原作とシンクロさせやすかったのも大きいと思います。オフなんて引っ越ししながら仕事しながら、膝に原作積んで書きました。(笑)好きじゃなきゃ、できませんて。
 若造とツンデレの愛すべき意地っ張りたち、今でも大好きです。

05.歪な彼女の分岐点
 シモネタ、実は結構好きです。バレてると思いますが。(笑)すみません。そしてハボックには大変申し訳ないのですが、軍に居る女の人なんて、こんなもんだと思います。
 これも一種の「大佐のフェロモンは凄いと思うんです」話に分類かなと思っています。黒のボクサーパンツは、完全に個人的趣味です。黒アンダーに白ワイシャツ+腹筋チラって、激しくエロいと思うのですが、いかがでしょう?(何この主張)

06.犬も食わないタルトタタン
 どいうも私は、エドよりもアルの方が書きやすいようです。アルの少し影のある優しさが好きです。そして、彼らが子供の顔をしていられる場を作る為、バカになることが出来る軍部の大人たちが大好きです。
 うちの独自設定なのですが、タルトタタンの甘くてビターな味わいは、ロイアイに似ていると思います。リンゴは罪の果実でもありますし。

07.シンデレラは自動小銃の夢を見るか
 どうにもならなくて、本気で土下座してリク変えていただこうかとまで思ったリクエストでした。なのに、ネタが浮かんだ瞬間、ノリノリで止まらなくなり自分で笑いながら一気に書き上げてしまいました。いや〜、楽しかったです。新たな扉を開けた気分でした。本当にありがとうございました。
 クリスさんの魔法使いみたいな、文章でしかできないネタを仕込むのって物書きの醍醐味です。楽しかった!

08.作為の戦
 ちょっと無理があったかなと言う気がしないでもないですが、こういう論理合戦も好きです。
 結局、歴史はいつでも生き残った方が主役((c)五右衛門ロック)であり、勝者はいくらでも歴史の改竄が可能です。自分に都合の悪い歴史なんて、残しませんものね。彼らは勝った側ではありますが、自分たちの塗りつぶされた歴史から目を逸らさない。その強さが哀しくも、一人ではなくて良かったと思う次第です。

09.嘘吐きな黒猫
 今回、一番の難産。年齢も立場も逆転となると、本当にパラレルはお手上げです。もういっそ、「TOFEL受けるサラリーマン・ロイとネイティブ英語家庭教師・リザ」にしようかと思い詰めたくらいに。(笑)書き上げてしまうと、これはこれで愛しいのですけれどね。
 イメージとしては、まだ詰めの甘い黒若タングと天然中尉ってところでしょうか。個人的に、マスタングに黒シャツとか黒タートルネックセーターを着せてみたいです。ラフな黒ずくめ、萌えます。(おや、脱線)

10.イデアの剣
 プロットの時点で100頁越えのオフ本書ける内容で、3話でまとめるのが大変でした。でも、逆に濃縮できてよかったかなとも思います。とにかく「童顔のままおっさんになってる!」が、書きたくて仕方ありませんでした。(笑)
 以前から、古今東西の映画や小説で記憶喪失になった人がパニック起こさないのが不思議でなりませんでした。自分のアイデンティティの喪失、見ず知らずの人間が知り合いだと主張する孤独、発狂してもおかしくない恐怖だと思うのです。だって、全く知らないおっさんが「君の夫だよ」とか言ってくるんですよ、ひぃ!
 その中でも思い出が拠り所になるほどの絆があれば、そう思って書きました。

11.お気に召すまま
 えー、以前の後書きで書いた設定から年齢差をちょっとイジりました。「29歳タングと18歳お嬢」くらいの、年の差設定です。
 当初から頭の中に深夜の舞踏の最中にリザがロイを突き飛ばし馬乗りシーンが出来ていて、ロイを服従させ領主の道を歩むリザというのは決まっていました。流石にじゃじゃ馬でも馬乗りははダメだろうと、ちょっと手を加えましたが。「マスタングがさらってしまえばいい」というお言葉を結構いただいたんですが、現実から逃げ、責任(職務)放棄する駆け落ちという道は、例えパラレルでもロイアイには似合わないと思うんです。
 彼らは良き主従であり続けると思います、きっと。初老になっても手が触れたくらいで狼狽えてると可愛いと思います。逆に主従だからこその夜伽コースもありでしょうし、そこは皆様のお心のままに想像してやってください。As you like!

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 と書いているうちに、100万回転もBlog5周年も迎えてしまいました。長々のお付き合い、本当にありがとうございます。週末辺りに何か企画を上げられたら、と思っています。たいしたことないですので、期待しないでお付き合い頂ければありがたいです。
 まだまだ書きます、ロイアイ! 今後とも、よろしくお願いいたします!